『GATE(ゲイト)』
土曜日の夜、上越のJ-MAXシアターで『GATE(ゲイト)』を観る。
J-MAXシアターでの上映初日ながらスクリーン7(座席数94)に観客は自分と若い女性二人連れの3人のみ。
“今、始まりの地へ。25日間、灼熱の2,500km。60年前に開いた禁断の輪を閉じる、祈りの旅”(チラシより)
この映画は、福岡県星野村で戦後60年間、絶やすことなく燃やし続けられている“原爆の火”を、世界初の原爆実験の場所であるアメリカ・ニューメキシコ州の“トリニティーサイト”まで運び、そこでその火を消し去ることで核兵器の負の連鎖を絶ちたいと願った日本の僧侶たちが、広島に投下された原爆が積み出されたサンフランシスコからトリニティーサイトまでの2500kmの灼熱の地を旅する姿を描いたドキュメンタリー映画だ。
福岡県星野村にある平和の塔で燃やし続けられている“原爆の火”、それは、原爆により何十万人の非戦闘員である一般市民が殺傷され、焼け野原となった広島の地で燃え残っていた原爆の残り火を一人の元兵士が持ち帰ったものだ。周りの誰にも明かさず自宅で絶やさず燃やされていた“原爆の火”を、星野村が引き継ぎ今も燃やされ続けている。世界の平和を願いながら。
恥ずかしながら、“原爆の火”のことも、2005年に行われた僧侶たちの“祈りの旅”も全く知らなかった。
“原爆の火”をトリニティーサイトへ戻し、その火を消し去るという僧侶たちの目的は達せられた。しかし、僧侶たちの2,500kmに及ぶ祈りの旅は終わったが、これは地球上から核兵器を無くし平和を実現するための長く険しい道のりの新たな旅の始まりでもある。
この映画の中で、“原爆の火”が日本丸によりアメリカまで運ばれ、サンフランシスコに上陸したときに、アメリカ在住の日本人平和活動家である胤森貴士氏、彼は8才の時に広島で被爆、18歳でアメリカに渡り平和活動家になった、がアメリカ人やアメリカのマスコミを前に行った演説が心に響いた。
彼の話す言葉が、この映画が、観客だけでなく地球上の全ての人に伝えたかったことを全て言い表していると思えた。
聴く人の心を打つ演説といえば、アメリカの公民権運動の黒人指導者、故キング牧師が行った「I have a dream (私には夢がある)」で始まる演説が思い浮かぶが、自分にとっては胤森氏の演説はキング牧師の演説に匹敵するほど心を揺さぶられた。
『GATE』は商業主義的な映画と同列に論じられる映画ではないが、『崖の上のポニョ』を何百万人が観ても世の中は何も変わらないが、もし『GATE』を何百万人の人が観たら世の中に何かが起こるかもしれない。観る人それぞれの心の中で何かが燃え上がる、あるいはくすぶりだす。そのような可能性を持った映画である。
最後に、この映画で松嶋菜々子がやっている日本語ナレーションだが、恐らく英語のナレーションを翻訳したものを元にナレーションしているのだろうが、その日本語が時に“直訳”っぽくて、???って思うところがあった。
それとシネコンでありながら、『GATEゲイト』のような非商業主義的な映画も上映するJ-MAXシアターの姿勢には、敬意を表する。今後もこういった儲からないが優れた映画を上映していって欲しいものだ。
映画に描かれる内容や、この映画を制作した核兵器解体基金の活動にはいろいろな意見があるかもしれない。また、このような映画がお金を払わなければ観ることができないのも残念だ。(お金払うのは映画を観ることへの対価以外の意味、意義があるのはわかっているが)どこでも、誰もが、いつでも観ることができたらよいのにと思う。星をつける意味を越えたところにある映画、というよりメッセージか。
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